60才で離婚、一人で札幌へ、そして出会った
僕がみちこさんと会ったのは、もう20年ほど前のことです
着付け教室のスタッフとして働いていた僕の仕事は、生徒さんの募集や生徒さんが教室に通いやすい環境のサポートするというものでした。
仕事に慣れてきた20代後半の頃。 優しいおばあちゃんがクラスに入ってきました。
いつも優しく、にこやかなみちこさん。 一緒にいるととても居心地がよくて、一緒にジュースを飲んだり、こっそり車で家まで送ってあげたり、ほかの生徒さん以上に仲良くなりました。
最初は着物が全く着られなかったみちこさん、家にはお母様のものや自分で買われた着物があって、それをいかすために教室に通われていました。
知り合って1年を過ぎた頃、いつもはマンションの下でお別れするのですが、ある時に「赤飯作ったから取りに来て」と。 いつか僕が赤阪が好物と話したことを覚えてくれたのでした。
マンションの5Fまで階段を上り、ドアを開けた時にわかりました。
みちこさんは独り暮らしをされていたのです。 お嬢さんは家庭をもって地方におり、自分は仕事を退職した60才の時、夫と別れ小さい町から出て来たのだというのです。
やっと一人になれたのだから第2の人生を楽しもうと、札幌に出てきたそうです。 それからいろいろ考えたけれど何をしてよいかが明確にならずにいた数年前のある日のこと。
地下鉄から上がったところで出会いがありました。
そこには着物姿の方がチラシを配っていました。 その着姿はあまりに美しく、思わず見とれてしまった。 もちろん、そのチラシを受け取って、夢うつつのような状態で帰宅したそうです。
あの着姿が忘れらず、家でじっくりとチラシに目を通すとそれは着付け教室のものでした。
すぐに電話をして通うことに。
教室が始まったその日、まさに奇跡のような出会いがありました。 それはチラシを配っていた着物の女性が先生だったのです。 本当に感激し、嬉しさとワクワクがさらに増しました。
それからみちこさんが着物に夢中になるのに時間はかかりませんでした。
着られるようになり、自分の好みの着物や帯を揃え、オシャレをするときにはいつも着物でお出掛けをする。
長いグレーヘアをきれいにセットし、立ち姿は凛としていました。 洋服のときと着物の時の姿はあまりに違いました。
着物を着ているときは、とても優雅で格好良く、それでいていつものかわいいみちこさん。 すぐに着物仲間が出来て、教室の生徒が集まったときも皆に「みちこさん 今日も素敵♪」と誰からも声をかけられる人気者になりました。
東京には着物ファッションショーに登壇し、京都や奄美に行ったり、海外にも一緒に行きました。 いつもイキイキとして前向きなみちこさん。
僕とみちこさんは出会って10年が経とうとしていたある時、いつものように家まで送る車中でこう言ってくれました。
「私ね 着物で人生がとても素敵になったよ」「もっともっと着物楽しみたい」
その頃のみちこさんは80才を超えていました。 「着物のため」とジムに通い足腰を鍛えました。 それは着物で格好良い立ち姿でいたい、京都に行く時、東京に行く時にしっかりと動けるようにという目標のためでした。
そんな、みちこさんは昨年90才になりました。
現役真っ盛りの着付け姿はさすがというしかありません。 当時、”着物で人生が素敵になった”と言っていたみちこさんは今でも輝いています。
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