「着物買わされた」って言われた!
12月に入りました。 早いね~。 まだ何もやってない。 なんなら先週やっと夏物をしまったくらいなのに、もう年越しの準備もしなくちゃいけない。
夏にはエアコンのあるところへ引っ越そうと思っていたけど、それももう半年も前のこと。 このまま年取っていっていいのだろうか。 自分の時間が歪んでいるくらいに早い。
さて、そんな毎日ですが、この頃できるだけお客さんに話を聞くようにしている。 それはいつもの接し方とは違う質問をする感じ。
もっと着物ファンを増やしたい。 もっとメーカーや技術者のために仕事を創出したいと思った時にできるのはアンケートだ。 いわゆるマーケティングってやつ。世の中を知るってこと。
それは彩蔵が13年やってきたことがどうなのか、という答え合わせなんだけど、結構ずばっと聞いてみる。 「どうして着物を買ったのか、買わなかったのか」などなど。すると「着物買わされた」というお声が出た。
「えっ うち?」と即座に聞き返すとうちではないそう。この時は思わずため口になるほどに驚きました。
他店でそうされたという話。 当然、僕は無理やり売らないし、そういうやり方が大嫌いだ。 粘るのやだし、疲れるし、正座はせいぜい30分までしかできないしね。 あれ体力使うんだよな~。
それにしてもお客さんはなぜ、「買わされた」と言ったのか、とても気になる。 展示会に行く、好きなものが見つかる、大人だし、契約書にサインをするかしないかは自分次第だし、囲まれたとしても何とか帰れるはずだし、、、
よっぽど帰れない事情があったのか、そういえば売り子さんに泣かれたという話は聞いたことがある。 「あなたにこの良さがわからないなんて」と。 すごいなぁ~。 女優だな~。
優しいひとは帰れないんだろうか。
こんなことがあるから着物のイメージって悪いのかな。 なんとか買ってほしいという売り手の自分勝手な動きがあるから、、、
「自分の意思で購入を考えたい」、これは「買わされた」と言っていた方からも、ほかの多くの皆さんも思っていることだと思う。
でもこれって意外に難しい。
先日こんな内容のYouTubeを見た。「人は自分の意思で物を買っていない」という。
どゆこと? と見てみたら、ほとんどの物は売り手の思惑で買うようにしむけられているという。 これは噂話でも都市伝説でもない
例えば、セブンイレブンの棚の配置は、考えられている。
本を見てドリンクを見て、総菜コーナーを流して、、と人をどう誘導してより効率的に売り上げをアップさせられるかを細かくシュミレーションした結果なのだ。 レジ付近に置いてある団子とかもつい買ってしまう。 ここに置くものは高利益率のものらしい。 これは買わされているとしか言いようがない。
スタバもそう
コンビニと同等レベルの豆でありながら、比較するまでもないほどの高価格だ。 ここはコーヒーを売っているのではなく、賃貸業に近い。 場所を提供するためのカフェなので、打ち合わせ、仕事、勉強に使われるケースが多い。
でも、無理やりするところはないな~。 セブンイレブンで「このお菓子、うちのオリジナルですっごくおいしいからぜひ、買ってください、職人が毎日早起きして厳選された塩をふって味付けするんです。 この技術は10年以上の経験者にしかできないんです。 今ならローン手数料無料」 なんて言われたらびっくりしちゃうもんな~。
着物の販売の在り方も考えないといけません。
そんなことを思う年の瀬。 でも着物を作ってくれる人がいるからメーカーも、和裁師も、染み抜き業者も、僕らもその仕事に従事することができます。 それはとてもありがたいことです。