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番外編 函館からの帰り道

番外編 函館からの帰り道

前々回に書いた 函館での衿秀展からの運転 続き

 

黒松内の難所を越え、その後も厳しい吹雪ながらなんとか時速40kmほどで走行

 

国道を通ったほうがいい というアドバイスから5号線を選択  すると案内看板には小樽まで  との表示   残り100km以上もあるし、すでに22時をまわっていたこともあって何とか小樽周りは避けたい  遠回りだし、小樽に行く途中にはあまり好きではない道もあります  夏場でも何もなくて暗くてさみしい道   そもそも小樽周りにいつの間にか迷い込んでいる  これも景色が全く見えなくて案内看板しかあてにならないから

 

とにかく小樽周りはいや  その途中で吹雪に巻き込まれるのは本当に避けたい

 

 

すると喜茂別につながる道を発見  喜茂別まで行けばこっちのもの  そこのうどん屋は結構行ってるし(野々傘という極旨うどん)、あそこは庭みたいなもの  昔、京極の吹き出し公園は遊びに行ったっけな  何回か

 

よしっ とそちらへ行く道を選択   ずっと田舎道だったのに、こんなところに信号を発見  とちらほら出てきてもう安心 と思ったころ

 

信号を渡ったところで急に視界ゼロ   台風を真下から見上げるような光景が、正面ガラスの前に  目の前でぐるぐると雪が円を描いていました  正面ガラスのサイドにはワイパーで除去できない雪がどんどん積もり  すぐに凍っていきます

 

そこに段差が生じ、ワイパーがぶつかる度、がたん がたん とうるさい  それでもワイパーを止められない  そんなことをしようものならあっという間にガラスは塞がれてしまい本当に視界ゼロになる  暗闇の空間に孤立にしてしまう  もちろん後ろのガラスはワイパーを動かしても視界ゼロ

 

横からは強風  少しでも窓を開けようものなら顔に雪がたたきつけられ、冷たさと痛さで戦意喪失してしまうのです  大切なのは気持ちなので  「戦う」気持ちをなくしたとき見えるのは・・・

 

数m前に信号があったはずだけれども、その距離感はつかめず  そうだとしてもバックをすることはできない  車があるかもしれないし雪山かもしれない  直接見るしか外の状況をつかむ方法はなかい

 

そうであっても僕らのような軽装で外に出るのは危険  ほかの車が追突してくる危険性もあります  それを目視で確認できないから  車から離れない限り遭難はないにしても視界がない というのはまさにそういうことです

 

結局30分ほどでしょうか  その場で立ち往生していました  「止むまで待つしかない」と暗黙でそう思い立ちました  救助をよんだところでここにたどり着くことはできない  自分の車のヘッドライトが雪に反射して前は黄色く光っている  それだけが漆黒の恐怖よりもマシでした  そして少しだけ幻想的でした

 

そこに黙っていれたということは後ろには車はなかったのでしょう  あれば何かしらのアクションがあったのだろうと思います  追突とかクラクションとか

 

 

僕は、黙っていくつかを確認しました  燃料は半分より少し下(燃費は悪い)  ひざ掛けは1枚  食料はピーナッツとブラックガムが数枚 メーカーさんは風邪気味  状況は悪い  このまま朝まではきつい  夜明けが6時として8時間はある  無理だ

 

 

 そう思っていたころ テレビではジャンプを放送していました  もうメダルがどうとか そういうテンションではない  せめて羽生君なら・・・

 

 

そう思っていたころ、反対車線から車がやってきました

 

おそらく時速10kmくらい  よくぞ来た!   この視界ゼロの中よく進んできた   そして道はつながっている  この道は生きている  やった~

 

その車のあと ぞろぞろ3台 4台と続きます  それを見て、こちらも少しずつ前に進みました  もちろん視界ゼロ  左が見えないので右に寄せながら  交差する車に「よくやった がんばってね」と声をかけ(車内なので伝わってはいません)  でもなぜか戦友というかこの苦境を一緒に乗り越える仲間というか そういう共通の意識は芽生えていました  勝手に

 

立ち往生したところから数m移動したとき  視界は少しだけ見えるようになりました  なんなんだこれは?

 

あの最悪の状況はたった数mだけで起きていたのだということ   あそこは魔のスポットだったんだ  おそらく強風になりやすく、再度にある雪山を少しずつ削って視界ゼロにしていたのでは と想像しました

 

もっと早く動いておけば とも思いましたが、あそこでは目をつぶって運転するレベル  もしかしたら対向車とぶつかっていたことも考えられました  そこを脱してからは吹雪ではあるものの、車輪跡を見れば走行できる程度(これでも相当危険)だったので、あそこを脱出した僕には安堵しかありませんでした

 

本気で警察をよぼうとしていたので  よく考えたら、警察ではなくレスキューです  携帯がなかったらと思うとちょっと怖い感じ

 

 

心配していた中山峠も問題なく  あの視界ゼロを経験した僕には多少のことではへいちゃらでした  

 

 

あとから知った話ですが、その日 一帯で風速30mを計測し、70台の車が立ち往生という事態を招いていたのでした  それはなるよな と納得しました

 

結局、家に到着したのは2時過ぎ  8時間の長距離緊張ドライブ  

 

冬の北海道には十分気を付けてください    

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