譲り受けたきものを復活させたい
着付け教室のチラシが折り込み(札幌と函館地区)されたこともあって、きもののお手入れの問い合わせも多くいただいております
これがチラシです
問い合わせの多い順だと
1. 寸法をあわせたい
2. 汚れをとりたい
3. 八掛けを取り替えたい
寸法はあわせると格段に着やすくなります
もともとその方の体を採寸して仕立てているので、譲り受けた場合は寸法があわなくて当然です 多少の差はカバーできるのも、きものの良いところです
サイズがあっているかをご自身で確認する方法
・身丈
きものを畳の上でのばして、肩山から裾までの長さが身長に5センチを加えたくらいだとちょうどよく、最低でも身長と同じなら何とか着ることができます 腰紐の位置を低めにしなければいけません
・裄
羽織ってみて、腕を下に45度の角度でのばし、手首のぐりぐりくらいに袖口がくるとちょうどよい(※)です 昔よりも少し長めに仕立てることが多く今はこの長さです ※基準はお店によってそれぞれです
・幅
羽織って補正や紐をしてみて、脇線が真横(多少のずれはOK)、中心線は上半身は真ん中、下半身は真ん中から少し右寄り(もしくは真ん中)であればちょうどよいです
まずはこれを確認します 身丈は元の方と譲り受けた方の身長差が7~8センチ位なら調整は可能です
裄や幅は目立つところなので慎重に確認します 大概は中に入っている生地を出すことで大きくすることはできるのですが、古めのきものだと生地を残さずに仕立てをしてしまうことも多かったらしく調整できないこともあります
どの寸法も大きい方から譲り受けた、ご自身でも以前より痩せた という場合なら調整が可能です
汚れ
これは思った以上に高額になることもあります 細かく確認すると予定していたところのほかにも発見されることも多いからです 胴裏は汗染み、八掛けは袖口や裾にこびりついた汚れがついていることも
八掛交換
以前に作ったものだから八掛の色が赤い、というのはよくあることです 八掛を見ただけで今のものかそうでないかわかることも それをきものと同系色にするだけで、おしゃれに着ることができます この変化は本当にびっくりします 裾は擦り切れていることもありますし、袖口の汚れが頑固な場合は思い切って替えてみることも手です
「番外編できものを売りたいのだけど」という方からの電話もあります
当店では買取はしていないのですが、見積もりしてもらったけど安過ぎてやめた というお話しはよく聞きます 「全く着ないし、昔高く買ったから」とおっしゃるのですが、数百円や数千円で売るのはとてももったいない
以前、引っ越しの時に着なくなったコートを持って行って、あまりに安い買取額に恥ずかしい気持ちになったことを思い出しました 高価なものではなかったので恥ずかしさもすぐ忘れましたが、数十万円もする思い入れのあるものを持ち込んで数百円だったら・・・ 恥ずかしさを通り越して機嫌まで悪くなりそうです (ぼくの場合)
着ないきものの一番の活用は洋服へのリメイクでも売るのでもなく、ご自分で着ることです 上にあげたようなお手入れをしたり、小物や帯でコーディネートすることでおしゃれに着られている方もいらっしゃいます
※リメイクは実際に着るか、おしゃれになるか ということが結構問題です 「作り変えただけで満足し着なかった」という例が多いのと、おしゃれにできるかは高いセンスが求められるようです
きものはすべての工程を緻密な作業で行い、ひと針ひと針丁寧に手縫いで仕立てるという世界にも類例のない素敵な衣です 譲り受けたもの、以前のものでも復活させてまた着ていただきたいです
寸法があっているか、汚れの見積もり、格について(結婚式用、カジュアル用など)なども気軽にご相談ください
きものはわかりにくいものなので、実際に見せていただけると提案できることも多いです
先日あった例
以前、お宅に伺ってきものや帯を見せていただき、今後着て楽しめるものとそうでないもの、汚れ、カビなども確認しました そこですべてではなく、おしゃれに着られるものを選んでお手入れをしていただきました
その後、「実はこんなものもある」とお持ちいただいたのが、9マルキのシックな大島紬
マルキとは大島紬の細かさ(絣糸の量に比例)の単位 9マルキはかなり良質で、織で表現する柄があまりに細かく、まるで染めているかのようなレベル 12や15マルキもありますが、9マルキも希少な大島紬です
それは昔のものだということでしたが、おしゃれな八掛がついていました 少しだけ寸法が違っていました 絶対に寸法をあわせて着たほうがよい とお伝えしました
昔のきものは良いものが多かったという話もあります もしかしたらお宝のようなきものがタンスにあるかもしれません
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