ホームページで販売をする理由があります
今回は彩蔵についての話
世の中はECでの販売が主流になりつつあります
Electronic Commerceの略で、日本語では電子商取引のこと、簡単にいうとインターネット通販のことです
これはアマゾンや楽天、身近なものとしてはウーバーイーツも
買いに行くのは時間がない、手元に届く、まさに手間を解消できるお買い物で、コロナの時に加速度的に市民権を得たといってもいい
多くの世代でこれが「ふつう」になりました 若者がよくいう「ふつうに」という言葉、「当たり前に」ということですが、つい使っちゃいますよね
楽天、アマゾンはふつうに使いますが、僕はまだウーバーを使ったことはありません
なんだかちょっと怖い
ご飯は直接口に入るものなので、「誇り」を持って仕事をしている人にお任せしたいという思いが強いのです
こんなことを言ったら、それに従事しているひとには怒られるかもしれないけれど
マニュアルはしっかりしているだろうけれど、「こだわり」があったほうがおいしいし、安心して食べれてしまう これは昭和世代だからだろうか それとも「こだわり」を前面に出した職業に就いているからだろうか (とはいいつつも、チェーン店には買いにいきます 配達が嫌なだけなのかな?)
「こだわり」とAIは対局にあるような気がする こだわりのマニュアル化は難しいよね
彩蔵がECサイトで販売することはこの「こだわり」を守りたいという意味が強い
現在、お店のある札幌では月に1回展示会をします
その時には、メーカーが来場してくれます
この展示会は、営業マンではなく、トヨタの工場長がわざわざ来てくれて商品の説明をしてくれるイメージです これは嬉しい だれよりも商品について詳しいひとが解説をしてくれるのだから
僕ら小売店側はお客さんと同じように工場長から、直接いろいろな説明が聞けるので、勉強になります とても良い機会です (きっと疑問点が違うとは思います)
僕らはメーカーからするとお客さんという立ち位置 でもこのメーカーさんにはいつも感謝の気持ちで接している 昔の小売店のように偉そうな振る舞いはないんです。。。
なにせ、僕らはメーカーがいないと売るものがなくなってしまう 昭和50、60年台のようにメーカーが隆盛を誇っていたころとは違うから
うちの店には染元や織元の社長が来られることが多い で、ご飯を食べながら本音を聞いたりする その度、大変さをお聞きします
かつてのように問屋はメーカーから商品を買わない だからメーカーは問屋を通して小売店の展示会に行く 展示会に出て直接販売をする
職人や後継者を育成するためには、売り上げをアップさせなければいけないけれども、展示会に行くという流れをこのままやっていくとそれは難しい
こういう話は好評すべきではないかとも思いますが、メーカーを守るために書きます
展示会で売り上げが10だとします それが年間48週(※)あったとしたら年間で480の売り上げ
※ここでいう週の数は月の週末、およそ月に4回で換算します 一般のお客さんが小売店に来やすい週末に展示会をすることが多いからです
この480という売り上げはどう頑張たって1000にはならない!
展示会の数はもう増やせないし(もうすでに限界まで入れているメーカーさんがほとんど)、
毎回の売り上げをアップさせるとしても、それはメーカーさんの問題というよりも、問屋や小売店の問題になるわけです
そうでなくても現状維持が精いっぱいなんです
毎週末に何ケースもの大きな段ボールから着物や帯を出し、その店にあうように陳列をし、お客さんへ自分の着物への愛情と出来上がる工程を熱をこめて話します そして終わったらまた段ボールにきれいに詰めて送り返す 京都の自宅に到着するのは夜中になるわけです
これは結構な肉体労働です あの段ボールは20~25kgはあるのです 僕も腰をやってしまうタイミングがいつかくるとヒヤヒヤしてます
木曜日に移動、月曜日まで展示会をして、火曜に京都の会社に出社 売れたものの確認、次の展示会の準備、その合間に商品の発注や卸業務、日々の仕事をこなし、そしてあの合間に新たな着物や帯のデザインをするわけです そうしたらすぐ木曜日
ハード過ぎる
休みなんてない人がほとんど 社長なんだから当たり前じゃない? と言われたら仕方ないけれど、その理由の大半は、自分ではなく問屋や小売店によることが多いんです
そんなお父さんを見て、子供は継ごうと思うのか。。。
仕事としては素晴らしい 「文化と伝統を伝える」のですから
でも体がつらい 若いうちはいいけど、あの段ボールをいつまで持つのか、朝晩の飛行機、新幹線での移動は堪える
せめて売り上げをアップできなければ後継者・新たな職人の育成にはつなげられない
でも現状できることは・・・
それをずっと聞いてきました どのメーカーさんも「うちは大丈夫」なんてところはなかった
子供には継がせたくない、自分が最後、 でも代々続けてきた家業をまもりたいという気持ちもある
今、メーカーの社長は40~50代という僕と同世代が多い 気持ちも通じる
なんとかしたい 着物の未来はこの世代が頑張らなければ
と考えたのがECサイトです
メーカーさんが展示会にこなくても、ファンができ、着物が流通する体制を作ろう
そこで彩蔵のHPで今後ECサイトの機能を付けることにしました
単に、商品説明だけでなく、できるだけメーカーの思いやこだわりを反映させることができるようにしたいと考えております
これがうまくいけば、競合他社も同じように始めるでしょう
それが増えたら、メーカーを守ることにつながるはず
この策を成功させるため今はワクワクです