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愛すべきひと

愛すべきひと

男の子は総じて格好つけがちだ  そして恥ずかしがり屋だ

小学生のとき、母親と一緒にスーパーにいるのを同級生に見られるのは恥ずかしかった

僕は特にシャイだから特にそうだった

それは母親だけでなく父親と一緒でもそうだった 

学校が休みだった時、同じマンションの1学年下の男の子が前から歩いて来た 体格がよくて生意気な奴だ  この時もつい目線を下げて通り過ぎた  そのあとに父親から「学年上なんだから男らしくしたら」みたいなことを言われたような

きっと父は、僕が彼におびえてる小さなワンコのように見えたんだろう

この時の僕の心境は、ただただ、恥ずかしかっただけだった  親と一緒に歩いているということが恥ずかしかったんだ

これは本音で、格好つけているわけではないのだが、僕は人に媚びたり弱みを見せるのが大嫌いだ 強いものに抗うのが「男」だと思っている  

実例もある

小学1年生の時に大学生くらいの2人組にカツアゲされた時も、小学6年生の時に中学生と喧嘩になったときも弱みは見せなかった   この感じは社会に出てからも変わらなくて、それが転機となったこともあるけど、それはまた機会があったら書きたい

この性格は当時の僕の目標が「北斗の拳」のケンシロウだったことも大きい  強く、優しく、寡黙、そして正しい  これが理想なのはしばらく続いた    

かつあげにひるまない僕が、学年下のやつにびびるわけがないんだ  これは今でも弁解したいことだ  あの時の僕に言ってやりたい  「恥ずかしがるんじゃない 顔を下げるな」って

まあそれ以前に、未だに弁解をしたがっている僕のケンシロウまでの道のりは遠いい

男の子は大きくなっても、親に対し素直でいられないことが多い  高校生のときはもちろんだし、社会人になれば、「自分の力で稼いでいるんだ」と調子に乗る  

その態度は特に、母親には顕著だ

外で働く自分はいかにも社会を知り尽くし、”そこでもまれる自分の気持ちなんか母親にはわかるまい” とマウントを取ろうとする  

若い自分は知識も頭の回転も上がり調子、でも、母親は下降傾向

だから、子供は自分の親のことを軽んじる  

これはどの家庭でもあることだと思うけれど、自分がある程度大人になると、親はそれも見越して対応してくれているんだな とわかる  負けるが勝ちってやつだ

なにせ、経験が違う  人を見る目も成功も失敗もいろいろと知っているんだから

でもその助言を受け入れられるところまで来ていないと、理解ができない  言っていることはわかるような気がするけど今は無理 っていうような感じ

ようやく、親の言葉を受け入れる体勢が整ってきたような僕だが、いつも思うことがある

僕の母親は天然系だ  

天然とは、「本当にうっかりさん」みたいな感じ

よく”自分の母親は天然” と20~40代の皆がよく言っているが、それは違うと思う  昔からそうだった? と聞いてみたい

多くの60~70代のお母さん、社会に出ていた方は現役を退き、家でも子供の手が離れて今までよりは多少ゆっくりでも生活が回る、という環境に変わってきたと思う  「いや、そんなことないよ私たちだって忙しい」というお母さん  すみません僕は決して世のお母さんたちを軽んじてはいません  あくまで一般的な話  

誰でも100でやっていたことが80になれば頭の動きがゆっくりになって、あまり多くを考えずに勘違いをしたり、早合点をしたり という感じになるのは当然だと思う

年齢により天然系になるひとは多いけれど、僕の母親はおそらく先天的な天然だ  後天と比べると先天はすごい  ある意味エキスパートだ

それはすごくいい感じでカワイイ

先日もそう思うことがあった

店の袖机を新しいものに変えるにあたり、古いものが必要か聞いたら「欲しい」というので持って行った

数日後にはきれいに拭かれ、磨かれ新品のようだった  使い勝手もサイズ感もぴったりでとても喜んでくれた  4回は感謝された

「もうひとつ袖机あるんだけどいる?」と聞いたら「いや もういらないわ」と

新しい袖机が来て、捨てる直前に念のためもう一度確認と思ってLINEをしてみた

長年母を知っている僕が解説をしてみる

「欲しいような気もする」 というところで葛藤があったと思われる

1個目は貰って満足しているけど、2個目はどこに置こう  拭いたらピカピカになるし、買おうと思ったら高いし う~ん  みたいな

最後に「笑」  とついているのは自分でも前に「いらない」と言ったのに、という矛盾が可笑しくなったんだろう

でも結局「欲しい」と  1分の熟考(?)の後、そう出た答えだ

僕の母はそんな可愛らしいひとだ

名誉のために書いておくが、僕が仕事ができると認めているひとの代表格が母親だ  スピードと完成度、コミュニケーション力は見たことがない、そして、1日中忙しく活動していて睡眠時間3~4時間を長年続けられる特殊能力と体力を重ね持つ。  

僕にはないものをたくさんもつ彼女は、加齢によるいろいろな影響を鑑みても僕には超えることができない人だ(※僕はマザコンではない)

思えば5/14は母の日だ

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