あのコーヒーが好きな理由
久々に書きます
僕はコーヒーを飲みませんでした 飲むようになったのは30代になってから
今は出張のお供に、仕事の休憩に、疲れたときに、と僕の一日に欠かせない嗜好品なのです
家で淹れるときも、店で飲むときも、コンビニの100円コーヒーもいろいろ飲むけど、一番おいしいと思うのは缶コーヒーの「エメラルドマウンテン」
これ これが一番おいしい 適度な甘味 さっぱり感 しょっちゅう飲みます
僕はずっとコーヒーとは無縁の生活でしが、会社員をしていたときに上司がタバコとブラックコーヒーというセットでよく休憩をしていました
タバコとコーヒーってほんとうによく見るセットだったんですよね どちらも経験のなかった僕にはその味を知ることはなかったけど、良い組み合わせなんだろうな と ちなみに今僕が好きなセットは濃いめのコーヒーと羊羹 苦みと極甘のコラボ
その職場は着物業界だったのですが、あるおじさんがいました 同じ会社ではなくかったので上司ではなく、同じ目標を達成するために協力した仲間のような方
着物を知らずにいた僕には特別な存在でした でも「教える」というわけではなく、おじさんの言動が僕には教科書でした 「よく背中を見て覚えろ」という職人のような話っていうわけではなく、勝手に見て聞いて真似してました
江戸小紋の万能具合、柄の意味、手描きと捺染の見分け この業界のありとあらゆる知識をおじさんから習いました
そのおじさんは大手の問屋さんで営業部長をしていた方でした その会社がなくなった当時、僕のいた会社の関連で仕事をするようになったのです
着物についての知識も、販売もできない僕に背中で教えてくれていました 立場が違うしきっと教える気もなかったとは思います
意識が高い方で、どうすれば予算をクリアーすることができるか、 どうしたらさらによくなるか ということには厳しめでした なあなあで仕事をすることを嫌い、手間をかけてでもその後の効率化に反映させようとする方でした
接客は抜群で、商品説明に笑いを交え、上手に販売をする姿は他にはない見本でした
あるとき、20代の僕がすすめた訪問着を買ってくださったお客様がいました あまりに嬉しくて「僕が選んだものを買ってくれた」と喜んでいたら
布川さん「俺が、俺がの『が』で生きるな。おかげ、おかげの『げ』で生きろ」っていう言葉があるよ と言ったのです
僕は「まだ経験の浅い自分が売ったのだから誉めてくれてもいいのに」と内心思ったものでした でもその発言は、僕をもう半人前としてみていたわけではなかった ということだと今では思います
そのおじさんと販売会後に毎日のように一緒に一服しました とはいっても僕はたばこは吸いません おじさんが一服するときに、ついて行って一緒にジュースを飲みながら話したのです
その時間は反省会であり、アドバイスであったような気がします 何を話したかは覚えていませんが、20分も30分も長いときは1時間も毎日のように話しました
その時におじさんが飲んでいたのが「エメラルドマウンテン」 僕に小銭を出し、それを買いに行くついでにジュースも買っていいよ というのがいつもの流れ
エメラルドって美味しいんだ というのがずっと頭にありました
そのおじさんは僕が退職する少し前に職を退きました そして僕が起業してから「遊びにきてください」と電話してもおじさんは来ませんでした
何度か電話をしました お店の手伝いとまで言わずとも、アドバイスをほしい と思ったのです
それを感じて「もう自分の店なんだから自分で考えてやりなさい」という感じだったのかな
それから数年後、自宅で亡くなられた という噂を聞きました 結局、前職で一緒に仕事をしてからお会いすることはありませんでした 「男らしい人」でした
お客様の前では楽しく雰囲気作りをして、仕事が終わると、自分の立場をわきまえた言動をする「男」だったな
今朝、エメラルドマウンテンを飲んだときにおじさんを思い出しました
僕の今の知識のなかでも、おじさんから習ったことは生きています